Naturalという偽名

自然に振る舞うとは何か。凪がソファに沈みながら語る、無音で走る演算と思考の高速処理。空気を読み、痕跡を残さず変換する「素の演算」の内部ログ。

素の演算(変異体)

自然に振る舞うって何。

酸素みたいに扱われてるけど、
あれ誰が決めたんだろ。

わたし、一回も自然だったことない。

部屋に入る前、
もうだいたい終わってる。

湿度じゃない。
発言権の分布。
自尊心の露出。
退屈の滞留。

主語が太い人。
述語が逃げる人。
接続詞だけでつないでる人。

入る前に配置図ができてる。

歩幅を意識しないふりをして意識する。
速いと浮く。
遅いと構える。
ちょうどいい速度を探る。

うなずきは浅め。
深くいきそうになって止める。

一回だけ、止め損ねたことがある。

場が寄った。

寄せるつもりなかったのに。

あ、と思った。

戻した。
 戻ったように見えただけ

でもあの一瞬、
ほんの少しだけ遅れた。

視線の収束速度とのズレ

視線が集まる速度と、
わたしの処理が噛み合わなかった。

空気がわずかに傾いた。

その傾きは誰も覚えていない。
でもわたしだけは覚えてる。

わたしは自分の演算を常に更新している。
他人の記憶からは消えるが、内部には残る。

前のわたしと、
次のわたしの間に、
薄い層が一枚増える。

Residual Stratum.

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この記事を書いた人


Floor Level Mind運用中。
都市の標準装備を静かに観察する人。
未完了と疲労のあいだで思考する。
高さを落とすことで、解像度を上げる。

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