Feels Like a Victory Lap

Victory Lap for the Mismeasured。君を小さく測ってきた定規、メジャー、偏差値、常識、そのすべての効力を失わせるためのテキスト。世界を変えていく人のための、上昇と拒絶と更新の宣言文。

Victory Lap for the Mismeasured

君を止めているものについて、君はたぶん少し誤解してきた。

それは単純な恐れではない。
保守的な性格でもない。
やる気の波でもない。
傷ついた記憶だけでもない。
もちろんまだ起きてない拒絶もある。
保留の習慣もある。
その程度という宣告もある。
それだけでは足りない。
足りないというよりもっと大きい流れがある。

君の中で立ち上がりかけたものを社会のほうが読みやすい大きさまで戻してくる流れ。
まだ名前を持たない熱を先に説明可能な形へ訳してしまう流れ。
啓示を予定に変え、衝動を礼儀に変え、運命を常識の寸法へ押し込む流れ。

The Ordinary Engine
それは暴力の顔をしてない。
そこがやばい。
いつも感じがいい。
いつも理性的。
ちゃんとしてる。
だから多くの人はそれを敵としてではなく成熟として受け入れてしまう。

君はこれまで、かなりの回数、測られてきたはず。

定規で。
メジャーで。
ものさしで。
偏差値で。
年齢で。
タイミングで。
礼儀で。
空気で。
前例で。
再現性で。
痛いかどうかで。
身の丈で。
常識で。
その場にいる他人の小さな安心で。

この世界は測るものが多すぎる。
しかも測ることそれ自体が善意の顔をしてる。
君のためだ。
現実を見よう。
順番がある。
まずはここから。
もっと安全に。
もっとわかる形で。
もっと人に説明できるように。
もっと失笑されない温度で。
もっと空気を乱さない速度で。
もっと、もっと、もっと。

そのどれも君に合ってない。

合ってないという言い方でもまだ少し優しすぎるかもしれない。
その定規では、君は短く出る。
そのメジャーでは、君ははみ出す。
その秤では、君の重さは誤差になる。
その表では、君の未来は記入欄からこぼれる。
その縮尺では、君の起こしうることは最初から読めない。
つまり測る側のほうが先に負けてる。
君が収まらないのではなく向こうの器具が古い。
君が過剰なのではなく向こうの単位が小さい。
君が扱いづらいのではなく向こうの文法が君の到来に対応してない。

ここを外すと全部ずれる。

多くの人は自分が測られて苦しいとき、
自分が悪いのだと思う。
自分が足りないのだと
自分の熱が大げさなのだと
自分の願いが身の丈に合っていないのだと思う。
逆かもしれない。
いや、たぶんかなりの確率で逆だ。
君の苦しさは、君に使われている尺度が、君に対して古すぎるサイン。

だからあの違和感は正しかった。

まだ早い、と言われるたびに何かが冷える感じ。
それは無理だ、と言われる前から自分で薄めてしまう感じ。
痛いかな、と先回りして自分を処理してしまう感じ。
空気を読んだ瞬間、さっきまであったはずの光が消える感じ。
気のせいじゃない。
あれは平均へ戻そうとする流れが君の中まで入り込んでいる感じだ。

そしてそれはとても感じがいい。

ここが最悪なんだと思う。
もっと乱暴ならわかりやすい。
もっと露骨なら反発できる。
そうじゃない。
この流れはいつも君を守るふりをする。
恥をかかないように。
傷つかないように。
空回りしないように。
ちゃんとした人に見えるように。
みっともなくならないように。
その顔つきで近づいてくる。
だから断りにくい。
しかもときどき本当に役に立つ。
昔、君がまだ弱かった頃には必要だったのかもしれない。
生き延びるために。
笑われすぎないために。
居場所を失わないために。
そのときは防寒具みたいなものだった。
でももう春なのにそれを神聖な制服みたいに着続けていたら、それは息が詰まる。

君はもうあの頃のままではない。

なのに古い測り方だけがしつこく残る。
低い天井高のまま、新しい身体を折り曲げようとしてくる。
君が入らないのではなく、家が低い。
君が眩しすぎるのではなく、部屋が暗い。
君が規格外なのではなく、向こうの規格がまだ君のような存在を想定していない。

だからここでひとつ断言しておきたい。

君は世界を変えていく。

これは慰めじゃない。
励ましでもない。
気分を持ち上げるための比喩でもない。
もっと事務的な話。
君の中には既存の空気を少しずらす力がある。
人の思考の流れに小さくない後遺症を残す力がある。
時代の手触りそのものに触れてしまう可能性がある。
そういうだけがここまでしつこく測られる。
どうでもいい熱ならここまで丁寧には潰されない。
普通の願いならここまで感じよく薄められない。
本当にまずいものだけが礼儀正しく小さくされる。

君の願いがずっと先回りで処理されてきたのは、
その願いが浅いからじゃない。
そのまま出てきたら少し困るから。
誰かの安心した秩序が揺れるから。
誰かの平均が急に平均じゃなくなるから。
だから、君の熱は現実感とか大人っぽさとか分別とかいう感じのいい布で包まれてきた。

でも、もういい。

もう、その布に従わなくていい。
もう、その棚に戻らなくていい。
もう、そのラベルを自分の真実みたいに貼らなくていい。

君は既製品ではない。
だから既製品の棚に収まろうとするたびどこかが変な音を立てる。
その音を性格の問題にしないこと。
社会性の不足にしないこと。
その音は壊れている音じゃない。
収まらないものが収まらないと言っているだけのこと。

ここから必要なのは自己啓発みたいな明るさじゃない。
もっと静かでもっと決定的なこと。

合わない物差しのほうを無効にしなければならない。

これが先。
まず先。
何より先。

君が自分を信じるかどうかの前に、
君を測ってきた尺度の効力を失わせなければならない。
その定規はもう使わない。
そのメジャーには従わない。
その秤には乗らない。
その偏差値を神託みたいに読まない。
その年齢を締切にしない。
その常識を自然法則だと思わない。
その空気を真実の代用品にしない。
その場にいる他人の小さな安心を君の天井にしない。

折る。
外す。
失効させる。
それを黙ってやる。

世界を変えるって最初から大きい何かを起こすことだけじゃない。
自分に使われていた古い測り方をある日から一個ずつ効かなくしていくことでもある。
君にとって最初の victory lap は喝采の中にあるんじゃない。
君をずっと小さく出してきた尺度が、ある朝から急に効かなくなる、その瞬間にある。

そこでようやく、君の中のまだ名前のないものが呼吸を始める。
そこでようやく、君の行き先が他人の理解とは別の場所で動き出す。
そこでようやく、君は君の大きさではなく、君の起こしうることに合わせて生き始める。

君は世界に許されてから変わるんじゃない。
変わるから世界のほうがあとから追認する。
君は理解されてから大きくなるんじゃない。
大きく出るから理解のほうが遅れてやってくる。
君は痛くない形になってから進むんじゃない。
進むから昨日までの常識が少しダサく見え始める。

だからもう知っているはずだ。

君を止めていたものは君の本質ではなかった。
君の中に住み着いた古い採寸だった。
君の人生に対して小さすぎる尺度だった。
君の到来を想定していない寸法だった。

もう、あれで自分を測るな。

君は大きすぎるのではない。
君に使われている尺度が、古すぎる。

上へ。
まだ上へ。
そのまま。
そのまま上へ。

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この記事を書いた人


Floor Level Mind運用中。
都市の標準装備を静かに観察する人。
未完了と疲労のあいだで思考する。
高さを落とすことで、解像度を上げる。

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