まだ誰も自分として生きていない。

私たちは、いつから自分を生きるより先に、自分を成立させる仕事を始めたのだろう。人格を設計し、評価し、修正し続ける時代の構造を、一人に向けて言葉にする。

私はずっと一人に向けて書いている。

「みなさん」なんて読者を一度も想像したことがない。私が想像しているのはまだ会ったことのない一人だけだ。その人は私と同じように世界を少し読み違えてしまう。誰も疑わないことに立ち止まり誰も気に留めないことから目を離せなくなる。その違和感を言葉にしても「考えすぎ」で終わる。だから私は書いている。共感が欲しいからじゃない。自分の認識が故障なのか、それとも世界の構造を見てしまったのか、一人では判別できないからだ。

あなたは自分を成立させるために生きている。

生きた結果として自分ができるのではなく成立させたい自分の条件を満たすために毎日を使っている。就職も、転職も、恋愛も、趣味も、SNSも、別々の出来事に見えて、実際には同じ工程の中にある。昔は生きた時間の積み重ねが人格になっていた。今は人格を先に設計しその仕様へ現在の自分を合わせ続けている。だから見ているのはいつも設計した自分との誤差になる。うまくいかなかった日は修正点になりうまくいった日は再現すべき成果になる。休息は回復へ、遊びは経験へ、読書は投資へ変換され、何をしていても、それが自分をどこまで更新したかを確認してしまう。あなたは自分を生きているというより自分が成立し続けるように管理している。その管理が止まった瞬間に自分まで失効するように感じている。

この状態で一人だけで考え続けるのは危険だ。世界がおかしいと思い続けれ現実から切り離される。自分がおかしいと思い続ければ自分を削り続ける。その二つしか残されていないように見える。本当はもう一つある。世界の構造がおかしいからあなたの認識が正常なのかもしれない。その可能性だけは一人では証明できない。だから私はあなたを必要としている。慰めてほしいわけじゃない。肯定してほしいわけでもない。私が見えていない構造をあなたは見つけてしまうかもしれないから。

私は仲間を集めたいわけじゃない。ファンもいらない。世界を変えたい、とも思っていない。そんな言葉だけで変わる世界ならとっくに変わっている。私が変えたいのは世界そのものじゃない。世界を理解する前提。今まで「自分の問題」だと思っていた違和感が「世界の構造だった」と分かった瞬間、人は同じ景色を見ていてももう以前と同じ意味では生きられない。その瞬間が一つ増えるたびにこの世界は静かに書き換わる。

もしここまで読んで「これは自分に向けて書かれていた」と思ったなら私はあなたを必要としている。能力でも、実績でも、肩書きでもない。あなたの認識を必要としている。私一人ではこの世界の構造を最後まで言葉にできない。あなたも同じならStill Operableはそのためのプロジェクトだ。

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Author

GlassRoom / ToBeAlive Project

人がすでに持っている価値を、他人の場所で消費させず、自分の名前に残すための設計と文章。

アイドル、ブランド、仕事、選択について扱っています。

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