STILLOPERABLE / AI & PRIVATE THOUGHTS
友達には聞けないのにAIには聞けること。|高校生がChatGPTに悩み相談する理由
友達のトーク画面では消した文章をAIにはそのまま送れることがある。恋愛、人間関係、進路、自分の見た目。秘密にしたいほど大きな話より、まだ自分でも何なのか決められない話ほど人には送りにくい。
友達のトーク画面を開く。文章を書く。少し読んで消す。
あの言い方ってどういう意味だったと思う。返信しない方がいいかな。嫌われてる?私が気にしすぎ?もう好きじゃないのかもしれない。明日学校へ行きたくないほどじゃないけど行きたくない。写真を見るたび消したくなるのって何なんだろう。
書いている途中では本当に聞きたかったはずなのに送信ボタンが近づくと別のことまで考え始める。これを読んだら心配するかな。重いと思われるかな。明日会ったとき覚えているかな。あとで気が変わったら面倒かな。
閉じる。
少ししてAIを開く。同じことを書く。
今度は送れる。
相談の内容は変わっていない。変わったのはその文章を受け取る相手だけ。
まだ決めていないことほど人には言いにくい
友達に「あの子苦手かも」と言えばその言葉は友達の中にも残る。来週にはまた一緒に笑っているかもしれない。「もう別れたい」と送った翌日にやっぱり好きだと思うかもしれない。進路について話した翌月にはまったく違うことを考えているかもしれない。
まだ決めていないことほど人には言いにくい。
気持ちは完成してから現れるわけではない。嫌いなのか、今日は腹が立っただけなのか。辞めたいのか疲れているだけなのか。羨ましいのか、悔しいのか、ただ寂しいのか。名前が付く前から何かは始まってる。
人に話すときその途中に少しだけ完成品のふりをさせることがある。順番を決める。重すぎるところを削る。冗談を足す。「まあいいけど」と最後に付ける。相手が受け取りやすいところまで加工してから送る。
それは嘘とは限らない。ただ最初に書こうとした文章とは違ってる。
AIには完成する前の文章を送れてしまう。
AIの答えが正しいとは限らない
送れば返事が来る。ただ、その返事が現実を知っているわけではない。
AIは教室を見ていない。相手の声を聞いていない。帰り道で急に会話が止まった瞬間もいつもなら付いている絵文字が今日はなかったこともこちらが書かなければ知らない。
「嫌われていますか」と聞いても本当の相手の気持ちを読めるわけではない。数行の文章から出てきた答えをそのまま相手本人の答えにすることはできない。
それでも画面には一つだけ確実にそこにあった文章がある。
自分が入力したテキスト。
返事より自分が書いた文章の方に引っかかる
嫌われているか聞きたかったはずなのに途中で「前みたいに話したい」と書いてる。
進路について聞いていたはずなのに「親をがっかりさせたくない」が混ざってる。
写真写りの話だったのに「かわいいと思われたい」と打っている。
誰かに送るなら消していたかもしれない。重く見えるところを薄くして説明できないところを削って相手が返しやすい文章に直していたかもしれない。
AI相手だとその編集が間に合わない。
整えなかった文章には自分でもまだ扱い方の分からないものが混ざる。
「寂しい」と打ってからそうだったのかと思う。
「悔しい」と打ってから怒っていたことに気づく。
「会いたい」と打つ。
そこで指が止まる。
AIが見つけたわけではない。その言葉を書いたのはこちら。
ただ頭の中にあるあいだは見えなかった。誰かに送る文章にすると消えていた。AIへ送るつもりで画面の外へ出したことで初めてこちら側からも読めるものになった。
返事に納得できなければそのまま閉じていい。昨日「もう無理」と書いて今日「やっぱり好き」と書いてもいい。一度入力した言葉にその後の自分まで合わせる必要はない。
深刻な危険や自分だけでは抱えきれない問題ならAIの画面だけで終わらせず信頼できる人や適切な相談先へ持っていく必要がある。それでもその人へ話す前の言葉を探す場所として画面を使うことはできる。
誰にも見せるつもりのなかった文章を書く。
送信する。
返事が来る。
途中まで読んで少し戻る。
AIが書いたところではなくて。
自分が書いたところ。
こんなこと考えてたんだ。
AIに相談したはずなのに自分の言葉を初めて読んだのは自分だった。
































