人とすれ違うまでの数秒間に、視覚と身体は何を処理しているのか。歩行中のわずかな進路変更を、ミリ秒単位で追った短い観察記録。
THE FIRST SECONDS
VISUAL / MOTOR SYSTEM
THE FIRST SECONDS
0000 MS
RELATIVE DISTANCE
3.80 M
3.8
METERS
five seconds / one passing body

THE FIRST SECONDS

人とすれ違う。それだけの出来事を、 視覚入力、接地点、進行方向、相対距離として 5秒間だけ追跡する。
SCROLL TO APPROACH
0000 MS

相手から反射した光が網膜に到達する。 数メートル先。相手はこちらへ歩いてくる。 iPhoneを見てる。こちらも歩行を続けてる。 二本の進行方向をそのまま延長すると、 数秒後の位置が近い。

100–200 MS

脚の周期運動、上体の移動、進行方向が 視覚入力として処理される。 相手の位置は連続的に更新される。 距離は縮んでる。 相手の頭は下を向いたまま。 こちらの歩行速度にも大きな変化はない。

≈ 0300 MS

次の右足の接地位置が、 予定していた位置よりわずかに右へ移る。 右足が着地する。 骨盤の移動方向が変わる。 続く左足も、その変更後の軌道へ入る。 身体全体では数センチの横方向成分になる。

相手はほぼ直進してる。

0600 MS

変更後の進行方向を延長すると、 二つの身体の間に通過できる幅ができてる。 追加の大きな回避動作は必要ない。 こちらの左足が接地する。 向こうの右足が接地する。 距離はまだ縮んでる。

0900 MS

相手の見かけの大きさが増える。 網膜上で占める範囲も増える。 一歩ごとに相対位置が更新される。 こちらは最初の進行方向より 数センチ右側を進んでる。 相手はまだiPhoneを見てる。

二人の間に発話はない。

1200 MS

距離がさらに縮む。 相手の靴が一歩前へ出る。 こちらも一歩前へ出る。 歩行周期は途切れない。 相手がこちらを認識してるかは分からない。 視界の端で把握してる可能性もある。 まったく見てない可能性もある。

どちらでも結果は同じになる。

1600 MS

二つの身体が最接近に入る直前。 こちらの肩は変更後の軌道上を進む。 向こうの肩はほぼ元の軌道上を進む。 約一秒前に右へずらした接地点の差が、 今は二人の身体の間隔として現れてる。

相手の親指が動く。

1900 MS / MINIMUM

最接近。 肩の横を肩が通る。 衣服は触れない。 腕も触れない。 歩行速度はほとんど変わらない。 こちらの右足が前へ出る。 向こうの左足が前へ出る。

何も起きない。

2000 MS

相対位置が入れ替わる。 距離の変化は縮小から増加へ転じる。 相手は側方から後方へ移る。 最接近点はすでに過去になる。

2300 MS

距離が増えてる。 こちらの次の接地位置は、 元の目的地方向へ戻り始める。 相手は背後へ移動してる。 取得される視覚情報は急速に減る。

さっきまで衝突する可能性のあった身体が、 重要ではなくなっていく。

2800 MS

相手が視野の外へ出る。 前方には信号機、路面、建物の入口、 別の歩行者がある。 処理対象が切り替わる。 歩行は続く。

3400 MS

最接近のために生じた 数センチの横方向偏位は、 通常の進行経路へ吸収されてる。 後方の相手について、 新しく取得される視覚情報はもうない。

数秒前には進路を変更させるだけの情報量を 持っていた人間が、 現在はほぼゼロになってる。

4100 MS

前方から別の人が近づいてくる。 その移動方向が視野に入る。 現在位置が更新される。 こちらの歩行は続いてる。

5000 MS

次の人までの距離が縮み始める。

PROCESS COMPLETE / NEXT BODY DETECTED

また始まる。

ONE BODY CLEARED
ANOTHER ENTERS THE FIELD
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Author

stilloperable
個人ブログ。インターネット、仕事、学校、アイドル、まだ名前のついていない仕組みについて書いています。現在、GlassRoomというアイドルプロジェクトを準備中。

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