探してたらレーベルになった

気に入った服を27着も保存しているのに一着も買わない。既製品に満足できず制作を始めたら、自分の好みまで変わり始めた。HOUSE MUSICを軸にアイドル自身がDJするGlassRoom。インディペンデントレーベルの制作思想と、東京でのアイドルメンバー募集について。

既製品でいいの?

  1. Maison MIHARA YASUHIRO Reversible Double Layer Jacket ¥176,000
  2. Jil Sander TROUSER 163 AW 30 FIT 2 ¥269,500
  3. Omar Afridi COCOON BLOUSON ¥198,000
  4. AMIRI MA LOGO TRUCKER HAT ¥56,100
  5. Maison Margiela Vネック コットンジャケット ¥429,000
  6. 424 LEATHER HENLEY ¥327,800
  7. FFFPOSTALSERVICE Leaf MA-1 Bomber ¥126,500
  8. Fear of God ESSENTIALS Classic Raglan Hoodie ¥44,000
  9. MM6 Maison Margiela テーラードトラウザーズ ¥133,100
  10. Omar Afridi DUYSEN BAG ¥77,000
  11. Maison MIHARA YASUHIRO “PETERSON” OG Sole Suede Low-top Sneakers ¥48,400
  12. FFFPOSTALSERVICE SF Puffer Jacket ¥217,800
  13. 424 CREST HOODIE ¥48,400
  14. Jil Sander Linea Shoulder ¥305,800
  15. Maison Margiela ベルテッド ピークドラペル ウールブレザー ¥530,200
  16. EVANGELION:95 Cutsew ¥36,300
  17. FFFPOSTALSERVICE Curved Backzip Trousers Gen 2 ¥121,000
  18. Omar Afridi PULLOVER WOVEN PARKA ¥110,000
  19. Maison Margiela フロッキーパッチ デニムジーンズ ¥234,300
  20. FFFPOSTALSERVICE Dispatch Cargo Bag ¥107,800
  21. 424 BIG DADDY DENIM ¥124,300
  22. Omar Afridi STRAIGHT WOVEN TROUSERS ¥110,000
  23. 424 AZUKI TERMAL SHAO HOMAGE ¥55,000
  24. FFFPOSTALSERVICE Banner Lace Up Derby ¥121,000
  25. 424 COLLECTION LOOSE FIVEPOCKET ¥110,000
  26. Fear of God ESSENTIALS Tricot 90s Relaxed Long Sleeve Mock Neck ¥25,300
  27. FFFPOSTALSERVICE Balaclava Gaiter ¥33,000

気に入った服を27着も保存してるのに、一着も買わない。

一着目は形がいい。四着目は色が好き。十二着目は着たときの感じがいい。二十七着目は、何で保存したのかもう覚えてない。

いや、何してんの?

俺、服が欲しかったんだよね。

いつからセレクトショップのバイヤーになったんだろう。

で、一着目の形に四着目の色を合わせたら最高の服になるかっていうと、たぶんそうでもない。

あの形がよかったのは、あの色だったからかもしれない。生地が変わったら全然違う服になるかもしれない。

そもそも一着も着てない。

写真を27枚見て、すっかり服に詳しくなった気でいるわけ。

これ、結構失礼な話じゃない?

27着とも誰かが作ったんだよ。

生地を選んで、形を考えて、試作して、作り直して、ようやく売り物にした。

それを俺はスマホで見ながら「惜しいなあ」って。

買わない人の理想って絶対に失敗しないんだよね。

頭の中にある服は着心地が悪くならない。洗濯して縮まない。作ろうとしたら予算が三倍になることもない。

存在してないんだから。

何でも言えるじゃん。

で、俺はとうとう言うだけじゃなくて作る方を始めた。

音楽を作って服を考えて映像を作ってWebサイトまで作ってる。

GlassRoomっていうアイドルプロジェクト。

好きなものを探してるうちに売ってないなら自分で作ろうと思ったわけ。

これで解決すると思うでしょ。

しないんだな、これが。

自分で作れるようになるとそれまで気づかなかったことまで気になる。

例えば服の袖。

動きにくいから直す。動きやすくなる。ところが直す前に気に入っていた布の落ち方まで消えてしまう。

じゃあ戻そう。

戻したら今度は動きにくさが気になる。

最初はあんなに好きだったのに。

直す前と同じ服に戻っただけなのにもう同じ服を見てる気がしない。

作り方を知らなければ気に入るか気に入らないかだけで済んだんだよ。

作れるようになったせいで別の可能性まで見えてしまった。

自分の好きなものを作るために技術を覚えたのに、作れるものが増えるほど何を作りたいのか簡単には決まらなくなる。

俺、買い物を終わらせたかったんだけど。

でさ。

今あるGlassRoomって俺が作ったものじゃん。

公開している音楽もサイトも文章も。

気に入ってるよ。自分で判断して作ったものなんだから。

ただ、これからメンバーが加わるとしたらその人にとってGlassRoomはどう見えるんだろうね。

俺が27着の服を見ていたのと同じように誰かがGlassRoomを見ているかもしれない。

「ここは好き」

「こっちは違う」

「何か変えたいけど何を変えたいのかはわからない」

まあ、言われるだろうね。

今度は俺が27着のうちの一着になったわけ。

なかなか気分いいですよ。

しかも俺が作ったものを相手がどう使うかまで俺には決められない。

GlassRoomはHOUSE MUSIC、特にフレンチエレクトロハウスを出発点にしてアイドル自身がDJをする。

じゃあメンバーが俺の作った曲をDJでかけるとして。

俺はその曲のどこが好きか知ってる。どこで展開を変えたかったかも何とつなぐつもりだったかも覚えてる。

ところが本人は全然別のところを気に入るかもしれない。

俺が次の展開へ進むために置いた八小節をもっと長く使いたいと言うかもしれない。

そこで俺の知らない曲をかけるかもしれない。

その曲を聴いて今度は俺が何か作りたくなるかもしれない。

あるいは聴いてみたら全然合わないかもしれない。

俺が気に入らないと言ったら相手も気に入らないと言う。

話し合って両方試す。

どっちもよくない。

じゃあ別の方法を探すかって。

そのとき思いついたものが最初は誰も欲しがっていなかったものかもしれないんだよね。

もちろんこれはまだ起きてない話。

実際にメンバーが加わったらもっと別のことが起きると思う。

というか別のことが起きないとおかしいじゃん。

その人はGlassRoomに参加するためにそれまで音楽を聴いてきたわけじゃないんだから。

俺の知らない曲が好きだろうし、俺の会ったことのない人を知ってるだろうし、俺の企画なんかと関係なくやってみたいことがあるかもしれない。

それを全部GlassRoomに合わせて直してもらったら?

俺にとってはものすごく扱いやすいアイドルになると思う。

俺の好みに合うものだけ残してあとは削る。

そうしたら完成だね。

俺が最初から欲しかったものが。

……それって俺一人で作ればよくない?

誰かがいる意味なくなっちゃうじゃん。

ここで勘違いしたくないこともある。

相手の意見を全部採用したらそれはそれで相手を使ってるだけなんだよ。

判断を丸投げしてるんだから。

俺には俺の作りたいものがあるしGlassRoomには音楽的な方針がある。参加する人と目指すものが合わないこともあると思う。

何でも自由にやってくださいって何も決めないのは簡単だよ。

問題は自分の判断を持ったまま他人の判断によって自分の考えが変わることを認められるかなんだよね。

しかも相手が言ってることが最初は理解できないかもしれない。

俺が何時間も考えたものをあっさり変えようとするかもしれない。

で、実際にやってみたら俺の案の方がよかったりする。

そのときは戻すよ。

俺だって何でも譲るわけじゃないから。

ただ一度別の方法を試したら、元に戻してももう最初と同じ気持ちでは作れないんだよね。

それまで知らなかった選択肢が一つ増えてるから。

それが何人分も起きたらどうなるんだろう。

俺が用意した曲を誰かがDJでかける。

その人が選んだ曲を別のメンバーが気に入る。

そこから新しい音楽を作ることになるかもしれない。

今度はそれを発表する場所が欲しくなる。

だったら自分たちでイベントを考える?

必要な人を集めて会場を探して費用を調べる。

そういうことを続けるために、GlassRoomをインディペンデントレーベルとして育てたい。

何でも自分たちだけでやるという話じゃないよ。

誰かに頼むこともあるし予算の都合で諦めることもある。

ただ何かをやりたいと思ったときに作る方法を知らないという理由だけで終わらせたくない。

ここまで考えるとさ。

俺が自分の理想を実現するために始めたGlassRoomなのに、メンバーが加わることで俺が考えていなかったものを作り始める可能性があるわけ。

しかもそのとき新しくできたものを俺が一番気に入るかもしれない。

何それ。

自分の好みを守るために作り始めたのに自分の好みを変える人を探してるんだよ。

いや、正確には変えてほしいと頼むのも違うんだろうね。

「俺の予想を超えてください」なんて言ったらそれも俺の注文じゃん。

ずいぶん面倒な発注書だよ。

相手は俺を驚かせるために存在してるわけじゃない。

自分が好きなものを持ってGlassRoomに来る。

一緒に何かやってみる。

そこで俺が何を思うかはそのときにならないとわからない。

GlassRoomは今、DJをするアイドルを募集してる。

今ある作品を気に入ってくれる人がいてもいいし気になるところがある人もいると思う。

どちらと何が作れるのか感想だけでは決められない。

会って、話して、実際に何かを試す。

俺も相手も考えが変わるかもしれない。

変わらないかもしれない。

その結果一緒に作らないという判断になることだってある。

それでも最初から俺の考えたアイドルが完成しているなら誰かに会う必要なんかないんだよね。

俺はもうGlassRoomを作り始めてる。

だからこそこれから誰が何を始めるのか俺にはまだ書けない。

さっき27着の服を保存してた話をしたけどさ。

あの頃はどこかに理想の一着が売ってると思ってた。

今は誰かと一緒に作ったものを作る前から好きだったことにしてしまう方が怖い。

俺、また全部自分で決めちゃうから。

とりあえずDJミキサーの接続方法を調べてる。

誰かが次に何をかけたいと言ったとき、できるかどうか確かめたいから。

ただその誰かが何をかけるのかはまだ知らない。

そこは検索しても出てこないんだよね。

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Author

stilloperable
個人ブログ。インターネット、仕事、学校、アイドル、まだ名前のついていない仕組みについて書いています。現在、GlassRoomというアイドルプロジェクトを準備中。

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