高校生が何か始めたいとき|学校の外には別の採点表がある
高校生で「何か始めたい」と思っても、使えるお金はそんなに多くない。
学校がある。宿題がある。テストがある。進路の話が始まる。家では勉強して、できれば良い大学へ行って、その先で困らないようにと言われる。
言っていることはわかる。
かなり長い時間をそのルートの中で過ごしていると、世界に存在する価値まで全部そこに並んでいるように見えてくる。
覚えられる。
速く解ける。
点数が取れる。
提出できる。
偏差値が上がる。
進学先として説明できる。
学校は大量の人を扱うから、測れるものを測る。
その仕組み自体は理解できる。
ただ、測定器に入らなかったものまで、存在しなかったことにはならない。
服を選ばせると急に強い人がいる。
写真を一枚選ばせると、なぜかその人が選んだものだけ残ることがある。
十行書かせるより、一行だけ書かせた方が忘れられない人もいる。
声を聞いた瞬間に覚えられる人もいる。
同じ景色を見ているのに、そこを見るのか、という場所を見つける人もいる。
カメラを向けられた瞬間だけ、学校で使っている顔とは全然違うものが出てくる人もいる。
こういう能力には定期テストがない。
通知表にも欄がない。
だから高校を卒業するまで、本人すら持っていることに気づかない場合がある。
それ、かなりもったいないと思う。
「何か始めたい」と思ったとき、新しい能力を一つ追加することだけを考えなくていい。
別の価値観に触れてみる。
それだけでも、かなり世界が広がる。
無料の展示を見る。
今まで聴かなかった音楽を聴く。
好きな写真を二十枚集める。
服を買う代わりに、なぜその服が好きなのか考える。
スマホで三十秒だけ映像を作る。
名前を付けて文章を一つ公開する。
誰かが作ったものを、消費する側ではなく作る側から眺めてみる。
高い機材がなくてもできる。
将来の仕事にする必要もない。
一度触れて、「こういう世界では、こういうものに価値が付くんだ」と知るだけでいい。
学校で高得点になるものと、学校の外で人を動かすものは一致しないことがある。
数学ができることには価値がある。
一方で、三秒見ただけの写真を誰かの記憶に残せることにも価値がある。
英単語を大量に覚えられることには価値がある。
一言しか話していないのに、なぜかその声をもう一度聞きたくなる人にも価値がある。
どちらか一方を選ぶ話ではない。
採点表が一枚ではない。
それを早めに知っておくと、自分に対する見積もりを学校だけに任せなくて済む。
ここから少しだけGlassRoomの話をする。
GlassRoomは、最初からアイドルになりたかった人だけを見ているわけではない。
むしろ、ここまで読んでいて
「アイドルは自分には関係ない」
と思った人の中に、こちらが気になる人がいる。
オーディションを検索したことがない。
歌やダンスを習っていない。
芸能界に入りたいと決めたこともない。
それでも、写真は少し好き。
服にはかなりうるさい。
言葉を選ぶのに時間がかかる。
人と同じものを見ているはずなのに、気になる場所が少し違う。
自分が何に向いているか、まだよくわからない。
もしこのあたりに心当たりがあるなら、こちらから見ると「関係ない人」ではない。
むしろGlassRoomが見てみたいのは、そういう人だったりする。
アイドル向けに何年も準備してきた人だけを集めたら、出てくるものもある程度予測できる。
こちらがまだ見たことのないものは、その準備をしてこなかった人の中にあるかもしれない。
GlassRoomでは、アイドルをかなりテキトーにこう考えている。
You’re an idol when someone sees you once and wants to see you again.
一度見た人が、もう一度見たいと思ったら、だいぶアイドル。
だから最初から歌える必要も、何年続ける覚悟を提出する必要もない。
最初に知りたいのはもっと別のことだ。
あなたを一度外へ出したとき、何が起きるのか。
写真かもしれない。
声かもしれない。
服かもしれない。
数秒の映像かもしれない。
本人が重要だと思っていなかった部分を、見た側だけが覚えるかもしれない。
そこは、学校のテストでは先に測れない。
GlassRoomにも先に全部はわからない。
だから見たい。
「私はアイドルになりたいです」と強く言える人だけを待っているわけではない。
そんなことを考えたこともなかったのに、この文章の途中から少しだけ自分の話として読んでしまった人。
学校で使われている採点表には、自分の全部が載っていない気がしている人。
自分に何があるのか、まだ決めたくない人。
何か始めたいけれど、また一つ予定を増やしたいわけではない人。
そのへんにいる人を、GlassRoomはかなり見ている。
だから、ここまで来て
「自分が応募するような場所ではない」
と判断したなら、その判断だけ少し保留にしてほしい。
こちらから見ると、最初からアイドルを目指していなかったことは欠点ではない。
まだ別の採点表に載せたことがない。
それだけかもしれない。
学校には学校の価値がある。
家には家の期待がある。
その外にも、かなり大量の価値の付け方がある。
何か始めたいなら、いきなり将来を決めなくていい。
まず、自分がまだ載ったことのない採点表を一枚増やす。
そこで初めて高得点になるものを、
あなたはもう持っているかもしれない。
































