YOU CAN’T LACK EXPERIENCE IN A LIFE YOU NEVER CONSIDERED. 考えたことすらない選択肢に「経験不足」は存在しない
求人には「未経験歓迎」が大量に置かれている。アルバイトも転職も営業も接客もクリエイターも芸能もアイドルも同じ言葉を使う。業種が変わっても残り続ける理由は明確だ。募集する側は人が欲しい。経験者だけを対象にすれば候補者は減る。経験を応募条件から外せば応募できる人数は増える。採用条件として考える限り「未経験歓迎」は合理的にできている。
ここで分けた方がいい数字がある。応募できる人の数と応募したい人の数だ。この2つは同じではない。「未経験歓迎」が直接変更するのは前者になる。経験がない人にも応募資格を与える。すでに仕事へ関心を持っている人が「経験がないから対象外かもしれない」と考えたときにその障害を取り除く。求人する側が本当に欲しいのは応募資格者の増加ではなく応募者の増加だ。
応募資格を広げることと応募したい人を増やすことは同じなのか
ある仕事に応募できる人が10000人いる。その仕事をやりたい人が100人しかいなければ応募者は10000人にはならない。その100人のうち40人が「経験がないから無理」と止まっているなら未経験歓迎は40人へ強く作用する可能性がある。応募資格を変更したことで応募を考えていた人が戻ってくる。
残り9900人がその仕事を自分の選択肢へ入れていない場合はどうだろう。未経験歓迎を何度見せればその9900人は応募したくなるんだろう。経験条件を外したことは伝えられる。その仕事を選ぶ理由までは生まれていない。資格条件の変更と選好の変更は別の処理になる。
この区別を外すと求人する側には少し不思議な錯覚が起きる。未経験歓迎と書いた。対象を広げた。だから広い人へ届くはずだ。実際に広がったのは「応募してもいい人」の範囲だけかもしれない。「応募してみたい人」の範囲はほとんど動いていない可能性が残る。
「未経験歓迎」を読んで安心するまでに何が終わっているのか
未経験歓迎を読んで安心する場面を逆算するとこの言葉が成立するために必要な前提が見えてくる。募集を発見している。その仕事へ関心がある。自分がそこで働く可能性を考えている。条件を読んでいる。応募する場面を少し想像している。その途中で経験不足が障害として認識される。そこで初めて「未経験歓迎」が情報になる。
順番をさらに戻してみる。「未経験でも大丈夫なんだ」と思う直前には「経験がないから無理かもしれない」がある。その前には「応募しようかな」がある。その前には「少しやってみたい」がある。その前には「これは自分にも関係するかもしれない」がある。未経験歓迎が届いた時点で読者の中ではかなり多くの処理が終わっている。
つまり未経験歓迎はゼロから応募者を作る言葉というより応募者になりかけている人を途中で失わないための言葉に近い。経験不足という障害には強い。関心そのものが存在しない地点には作用する対象がない。
「歓迎」という言葉はそもそも誰に向いているのか
歓迎には方向がある。こちらへ来る人を迎える。入口まで来た人へ入っていいと伝える。「未経験歓迎」にも同じ方向が入っている。経験はない。それでも少しこちらへ向かっている。その人を迎える。
まだこちらを向いていない人はどうなるんだろう。その仕事を一度も候補に入れていない。求人を探していない。自分がその仕事をする場面も作ったことがない。その人は「経験がないから応募できない」とは考えない。経験不足という問題自体がまだ発生していない。
問題が発生していない場所へ解決策だけ置いても動きは起きにくい。未経験歓迎は不安を下げられる。まだ存在していない関心まで同時に作る言葉ではない。
なぜどの求人にも「未経験歓迎」があるのか
募集する側は候補者を減らしたくない。経験不問。初心者歓迎。人柄重視。ゼロからスタート。どれも応募前の障害を減らすために使える。条件として書きやすく意味も伝わりやすい。その結果として多くの求人が同じ語彙へ集まる。
同じ言葉を何十件も見ると読む側では別の現象が起きる。意味は理解している。「経験がなくても応募できる」。そこまでは分かる。10件目20件目30件目になると求人同士を区別する情報ではなくなっていく。意味は残る。差が消える。
求人する側では入口を広げるための言葉。読む側では「ここにも書いてある」と処理される言葉。同じ5文字を挟んで意図と受け取り方に距離ができる。
アイドル募集の「未経験」は何の未経験なのか
アイドル募集ではこの問題がさらに大きくなる。ダンス経験0。歌唱経験0。ライブ経験0。撮影経験0。芸能活動歴0。自分の名前で発信した経験0。知らない人から名前を呼ばれた経験0。誰かが自分を見るために時間を使う状況の経験0。全部まとめれば未経験になる。
ダンスだけ習ったことがない人と人から見られる立場そのものを経験したことがない人では入ったあとに必要になるものがかなり違う。「未経験歓迎」という5文字は応募資格としてその違いを一度圧縮する。「応募していい」は伝えられる。その人が入ったあとに何が起きるのかまでは書かれていない。
本当に未経験者を迎えるなら経歴欄を空白のまま通過させるだけでは足りない。最初に何をするのか。何を本人と一緒に見つけるのか。現在持っているものをどこで使うのか。立場が変わったことで新しく出てきたものをどう扱うのか。本人が想定していなかった強さが出たとき活動の方を動かせるのか。未経験を歓迎するという言葉の情報量より実際にはその後ろに必要な情報の方がはるかに多い。
未経験者よりさらに手前にいる人は誰が迎えるのか
「未経験者」という呼び方にはすでに対象となる活動が存在している。ダンス未経験者ならダンスが先にある。業界未経験者なら業界が先にある。アイドル未経験者という言葉もアイドルという選択肢が本人の中に存在して初めて成立する。
アイドルを検索していない。オーディションを見ていない。自分がその側へ行く場面を作ったことがない。歌やダンスの経験が足りないとも考えていない。その人はアイドル未経験者として自分を認識していない。経験0より前にいる。
検討0。検索0。志望0。応募を考えた回数0。
ここには「未経験歓迎」がまだ必要になっていない人がいる。写真が好きかもしれない。服が好きかもしれない。言葉を出すことが好きかもしれない。自分の強みが分からないかもしれない。学校の外に別の立場が欲しいかもしれない。何か始めたいと思っているかもしれない。その状態とアイドルがまだ本人の中で接続されていない。
この人たちが知りたいのは「経験がなくても応募できるか」より前にある。自分がその立場へ入ったら何が変わるのか。人から見られる側になると何が起きるのか。自分では気づいていない部分へ他人が先に反応することはあるのか。写真や映像や服や言葉や人や仕事が自分の名前へ集まり始めると何が変わるのか。
そこに接続が生まれて初めて「自分にもあり得る」が発生する。そのあとに応募可能性を考える。そのあとに経験不足が問題になる。その地点まで来てようやく未経験歓迎が働く。
求人したいならどこまで届けばいいのか
求人する側が本当に欲しいのが応募者ならすでに応募を考えている人の障害を減らすだけでは母集団の外側へ出られない。100人いる応募候補を120人にする方法とまだ応募候補として数えられていない1000人の中から「それなら自分にもありかもしれない」を1人発生させる方法は別にある。
未経験歓迎は前者に強い。
後者にはその仕事と自分を初めて接続する理由が必要になる。
GlassRoomも未経験歓迎だ。歌唱経験もダンス経験も芸能活動歴も応募の前提にはしていない。さらにその分類へまだ入っていない人も歓迎する。
志望歴0。検索歴0。応募検討0。アイドルになろうと思った回数0。
「未経験だから無理」と考えたことすらなくていい。アイドルという選択肢を自分へ当てたことがないところから始められる。
未経験歓迎という言葉が必要になるより前にいる人まで迎える。
求人したいなら本当はそこまで届かせたい。
GLASSROOM|MEMBERENTRY
志望歴0から入れる
GlassRoomは東京で高校生から22歳まで初期メンバーを募集しています。歌やダンスの経験がなくても応募できます。アイドルを自分の選択肢として考えたことがなくても構いません。少し気になった段階から話せます。
エントリーフォームへ進む→送信した時点で参加が決まることはありません。最初に話してから考えられます。
GlassRoom / Tokyo
































