普通は誰かの最初の選択が繰り返されて透明になった状態だと思う。最初に誰かがこの色を選ぶ。次の撮影でも候補に残る。衣装にも少し入る。サイトにも入る。何度か続いた頃には誰も「なぜこの色なのか」と聞かなくなる。それがその場所の普通になる。
アイドルグループにも大量の普通がある。衣装はどこまで光るのか。写真ではカメラをまっすぐ見るのか。曲はどの速度まで走るのか。ステージではどんな言葉を使うのか。髪に何を付けるのか。物販の机に何を置くのか。ファンへどう話しかけるのか。完成したグループではその答えがすでに積み重なっている。
GlassRoomは今その答えが生まれる手前にいる。
最初のメンバーが「こういう服が好き」と言えば次の衣装を考える時の基準が一つ増える。「この音が好き」と言えば曲を探す耳が変わる。「こういう写真を撮りたい」と言えばカメラを置く場所が変わる。「この文字かわいい」と言えばサイトの一部分まで動く。
最初の「好き」は感想よりプロトコルに近い。 一度その選択が制作へ入ると次の判断がそこを参照する。昨日まで空白だった場所へ基準が一本立つ。その基準を使って曲や服や写真を作る。すると最初の一人が何気なく選んだものがGlassRoomの初期設定へ変わっていく。
いま上で起きたことを制作でもやりたい。「好き」と言っただけで世界が魔法みたいに完成するという話よりずっと具体的だ。ひとつの好みが入る。制作する人がそれを見る。別の案と並べる。予算や安全や技術や他のメンバーの選択も入る。その中で最初の好みが基準として残る。次に何かを決める時にはゼロから始まらず「あの時これが良かった」が使える。
普通は好みのキャッシュでもある。一度うまくいった選択が次の判断を速くする。最初は「この銀色が好き」だったものが次の撮影では光の温度を決める材料になり、その次には衣装の金具を見る基準になる。最初は小さかった選択が別の制作へ移植されるたびGlassRoomらしさが育っていく。
ここで初期メンバーの立場が面白くなる。完成したグループでは自分がすでにある規格の中へ入る。GlassRoomの最初期では規格の方も人へ近づいてくる。似合う曲を探す。似合う服を作る。話した時の速度を見る。何を面白がる人なのかを知る。その人から出てきたものを使って次のGlassRoomを作る。
「自分はこういうアイドルです」と最初から完成した説明を持っていることより、何を見た時に少し前のめりになるのかの方が重要になる。古着屋で急に触りたくなる服。イントロ三秒で音量を上げる曲。コンビニで毎回買う色。保存してしまう画像。友達へ送る動画。自分では大したことと思っていない選択の中に、その人がGlassRoomへ持ち込めるものがかなり入っている。
最初の一人が青を持ってくる。二人目が赤を持ってくる。そこで紫を作る必要もない。青と赤が同時に存在することで初めて生まれる画面もある。好みを平均するより違うものが同じ場所に置かれた時の方が面白いことが起きる。GlassRoomの普通は全員を同じ色へ染める規則より、違う選択が一緒に動ける規則として育てたい。
一人目の「好き」は二人目にも届く。二人目がサイトを見る。写真を見る。衣装を見る。曲を聴く。その時に「GlassRoomってこういう感じなんだ」と思う。その「こういう感じ」の一部には一人目が持ってきた選択がすでに入っている。
つまり最初のメンバーは作品へ出演する人であると同時に、次に来る人がGlassRoomを判断するための基準まで作る。自分が好きと言ったものが次の撮影へ入り、次の写真を見た誰かが応募する。その誰かが別の好きなものを持ってくる。GlassRoomの普通がまた更新される。
この更新を繰り返した先に「GlassRoomっぽい」という言葉が生まれる。その言葉を最初に決める会議はたぶん存在しない。人が入る。選ぶ。作る。残る。次の制作がそれを参照する。その積み重ねを外から見た人がある日まとめて「GlassRoomっぽい」と呼ぶ。
最初のメンバーはGlassRoomらしさへ合わせる人より、GlassRoomらしさの語源になる人に近い。
これはかなり珍しい位置だと思う。曲も衣装も写真もライブも大量に積み上がった後では最初の一票を入れる場所まで時間を戻せない。今のGlassRoomにはその最初の票がまだ入る。
応募する時に知りたいのは完成した自己PRより、あなたが最近何を好きだと思ったか。その理由が言葉になれば聞きたいし「なんとなく好き」でもそこから見ていける。歌やダンスの経験も一つの情報になる。服の好みも音楽も映画も漫画も街も色も食べ物も全部その人の選択を知る材料になる。
GlassRoomへ入ったら全部を好き勝手に決めるという意味とは少し違う。制作には他の人がいる。メンバーが増えれば別の選択も入る。プロとして必要な判断も入る。その上で自分の「好き」が制作のテーブルへ実際に置かれる。その状態を作りたい。
自分が選んだものが次の写真に入る。自分が話したことから曲の方向が少し動く。自分が気に入ったものを別のメンバーも好きになる。その選択を見た誰かがGlassRoomを知る。
最初はただ「これ好き」と言っただけだったものが、いつの間にかGlassRoomの普通として使われている。
応募フォームでは名前、年齢、住んでいる地域、SNS、短い自己紹介を送る。送信後はまずGlassRoomについて話す。活動内容、費用、報酬、スケジュール、関わる人を説明する。そのあとで参加を判断できる。未成年の場合は保護者にも同じ内容を共有する。
GlassRoom初期メンバーに応募するstilloperable in GlassRoom
































