生きてるあいだ失い続ける。

GlassRoomは、新しいアイドル活動を一緒に作る初期メンバーを募集しています。経験の有無だけで決めず、活動条件やできることを確認してから応募できます。

生きていることは時間の中にいるということ。時間は停止しない。昨日と今日の差が小さくても一日は一日ずつ過ぎる。身体は変化し記憶は更新され人間関係も環境も同じ状態には留まらない。

この変化の多くは劇的な出来事として起こらない。朝になり仕事へ行き食事をして眠る。その反復の中で年齢が増える。以前よく会っていた人と会わなくなる。よく行っていた場所へ行かなくなる。昔できたことをしなくなる。失われる瞬間を特定できないまま以前存在していた状態が現在からなくなっていく。

花びらが一枚ずつ落ちるように変化は細かく分散して起こる。一枚が落ちたところで木全体が突然別物になるわけではない。それでも落下は元へ戻らない方向へ進んでいる。日常の時間もそれに近い。大部分の日には決定的な断絶がないが同じ日をもう一度持つことはできない。

時間が進むと実際に持っていたものだけでなく選べた可能性も減っていく。ある日に会えた人が数年後にも同じ場所にいるとは限らない。ある年齢で選べた仕事、住めた場所、始められた活動も条件が変われば同じ形では選べなくなる。

何かを選ぶことも別の可能性を閉じる。ある場所へ行けばその時間に別の場所へいることはできない。ある仕事を続ければその期間に別の仕事をしていた時間は存在しない。誰かと過ごした一日は別の誰かと過ごす一日にはならない。人は多数の可能性を想像できるが実際に経験できる現在は一つしかない。

選択を保留している間にも条件は動く。本人がまだ決めていなくても時間は進む。人は移動する。募集は終わる。店は閉まる。関係は変わる。選ばなかったことによって残る可能性もあるが保留によって永久に保存できる可能性はない。

記憶も完全な保存ではない。人は出来事の一部を忘れ残った記憶も後から得た情報や現在の状態によって変化する。かつて鮮明だった顔、声、部屋、匂いが、時間とともに細部を失うことがある。忘れたくないという意思と忘れないことは同じではない。

身体についても同じことが起こる。細胞は入れ替わり身体機能は年齢や環境によって変化する。鏡に映る自分は連続しているように見えるが十年前と現在では同じ状態ではない。本人は同じ名前を使い続けてもその名前が指している身体は変わり続ける。

人間関係も保持だけでは成立しない。出会った人とは会う回数が減ることがある。親しい人も年を取る。関係が続いていてもその関係の形は変わる。ある時期にしか存在しなかった距離、会話、場所がある。長く続いた関係の中にも、一度しか存在しなかった時間が含まれている。

最終的には、本人自身が保持できなくなる。死ねば自分が持っていた物、地位、身体、予定、将来の選択肢を本人が保持し続けることはできない。その意味では人は最後に多くのものを手放す。

だから生きることには取得と喪失が同時に含まれている。何かを手に入れればそれを失う可能性も生まれる。誰かを知れば別れる可能性も生まれる。何かを始めれば終わる可能性も生まれる。

失わないことだけを優先すれば持たないという選択は増える。しかし持たなかったものは失わない代わりに持っていた時間も発生しない。

時間は進む。

その中で人は一つずつ選び一つずつ取得し一つずつ別の可能性を失う。

多くの場合その進行には大きな音がしない。

それが生きている時間の基本的な性質の一つ。

ここにはさらに決定的な条件がある。

人は自分自身も時間と一緒に変化しているので喪失を固定地点から測れない。喪失は発生時に通知されないものがある。失った時刻と失ったことを知る時刻がずれる。

人は失っている最中には自覚がなく気づいたときにはすでに失われた後にいる。

不可逆性は失う瞬間ではなくもう戻れないと気づいた瞬間に初めて牙を見せる。

Written by stilloperable

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Author

GlassRoom / ToBeAlive Project

人がすでに持っている価値を、他人の場所で消費させず、自分の名前に残すための設計と文章。

アイドル、ブランド、仕事、選択について扱っています。

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