仮想現実的に稼ぎたい

稼ぎたい。3万円、10万円、100万円。自分の作品が売れたら何が起きる?写真1枚1,500円から始まる仮想の取引を通して、売上と報酬の違い、購入者の心理、まだ存在しない仕事と収益の可能性を体験する。GlassRoomが考えるお金と創作の話。
GLASSROOM TEXT 01
無音で読む
♫ 選曲

GLASSROOM / MUSIC

曲を選ぶと自動で閉じます。読書中も再生できます。

GLASSROOM / INTERACTIVE TEXT

仮想現実的に
稼ぎたい

稼ぎたい。

いくら必要?

いつまでに?

上の金額と時期を選べます。選択した項目の色が変わります

金額と期限が決まれば仕事を探せる。

今月必要な10万円と5年後に欲しい100万円では選べる手段が違う。

好きなブランドの服が売り切れる。友達との予定にお金がかかる。進学のために貯金したい。家賃も払わなければならない。

お金がないと困る。

稼ぎたい。

何もおかしくない。

次へ ↓

01 / REALITY

GlassRoomでいくら稼げるのか。

わからない。

活動によって生まれた収益を事前に合意した条件で分配する仕組みを考えている。金額も時期も保証できない。

毎月決まった収入が必要ならアルバイトを探してほしい。必要な金額と支払日がわかる仕事の方が確実だ。

生活費をGlassRoomの将来に賭ける必要はない。

それでは画面の中でお金を動かしてみよう。

実際の銀行口座には触れない。

まだ存在しない商品の値段を決める。

まだ会ったことのない購入者を一人想像する。

その人が支払うかどうかまで考える。

仮想の取引に現実の計算を持ち込む。

商品を登録する ↓

02 / CREATE A PRODUCT

商品を登録する

あなたが一枚の写真を選んだ。

撮影したのは昨日。

衣装は自分で決めた。

場所も自分で探した。

撮った写真は何十枚もある。その中でどうしても捨てられなかった一枚を販売する。

商品名はまだ決まっていない。

販売価格を入力する。

1,500円

高い?

安い?

どちらもあり得る。

とりあえず登録する。

VIRTUAL STORE未公開の架空商品
商品写真プリント
価格¥1,500
販売方法受注生産
注文数0件
売上¥0

このページの取引と金額は架空の計算例です。GlassRoomの販売実績や実際の報酬条件ではありません。

販売ボタンを押したことにする。

公開。

しばらくしてアクセスが増える。

誰かがページを開いた。

別の人も開いた。

写真は見られている。

SNSにも反応がある。

注文数を確認する。

0件

価格が高いのかもしれない。

写真が欲しいと思われなかったのかもしれない。

販売ページまでたどり着けなかった人もいるかもしれない。

送料を見て購入をやめた人もいるかもしれない。

あなたにはまだわからない。

価格を下げる?

違う写真を選ぶ?

販売する場所を変える?

写真を売ること自体をやめる?

注文が入らなかったという結果から次の選択肢が生まれた。

最初は販売価格しか考えていなかった。

今は購入までの経路を考えている。

別の結果を試す ↓

03 / FIRST ORDER

一件の注文が入る

画面を戻す。

今度は別の結果を試す。

同じ写真。

同じ価格。

同じ販売ページ。

ひとりが購入した。

VIRTUAL ORDER架空の通知
注文数1件
商品代金¥1,500
購入者未確認

あなたの口座に1,500円が入ったわけではない。

印刷代が必要になる。

梱包しなければならない。

発送にもお金がかかる。

決済手数料もある。

売上と受け取れる報酬は違う。

その計算をする前に購入者の方へ行ってみたい。

購入者の一日へ ↓

04 / THE PERSON ON THE OTHER SIDE

その人は今日あなたの写真を買う予定で起きたわけではない。

通勤中に音楽を聴いていた。

知らないサイトにたどり着いた。

気になる曲があった。

曲のタイトルを覚えてしまった。

もう一度聴きたくてサイトに戻った。

その途中で写真を見つけた。

最初は通り過ぎた。

スクロールして戻ってきた。

写真を開いた。

閉じた。

ほかのものを見た。

また戻ってきた。

値段を確認した。

送料も確認した。

それから購入した。

これは仮想の購入経路の一例だ。実際には友達から教えてもらう人もいれば出演者のファンもいるだろう。

購入者にも購入者の一日がある。

欲しい本がある。

飲みに行く予定がある。

新しいイヤホンも気になっている。

1,500円の使い道はほかにもあった。

その中から写真を選んだ。

あなたが稼ぎたいことを知っていたかどうかもわからない。

練習した時間も知らない。

昨日何枚撮り直したかも知らない。

その人は自分のお金で何を買うか考えていた。

さっきまであなたは自分がいくら受け取れるかを考えていた。今は知らない人がどうして1,500円を使ったのか考えている。

購入者の画面を開いたままにしてみる。

もし写真より音楽を気に入っていたとしたら。

写真は音楽の続きを持って帰るために買ったのかもしれない。

写真を売るつもりで作ったものが誰かにとっては音楽を記憶するためのものになっている。

商品の用途を決めたのは作り手だけではなかった。

売上を計算する ↓

05 / CALCULATION

20件の注文が入る

もう一度画面を戻す。

今度は20人が購入したことにする。

SIMULATION / ¥1,500計算例

注文数を切り替えて売上と費用を比較できる。実際の注文は発生しません。

売上¥0
印刷代(¥250 / 枚)−¥0
梱包・送料(¥300 / 件)−¥0
販売・決済手数料(売上の10%)−¥0
差引残額¥0
売上¥1,500
印刷代(¥250 / 枚)−¥250
梱包・送料(¥300 / 件)−¥300
販売・決済手数料(売上の10%)−¥150
差引残額¥800
売上¥30,000
印刷代(¥250 / 枚)−¥5,000
梱包・送料(¥300 / 件)−¥6,000
販売・決済手数料(売上の10%)−¥3,000
差引残額¥16,000

送料込み価格の架空例。差引残額は出演者の報酬ではありません。ほかの制作費や人件費、税金などは未計上。実際の報酬は事前に合意した契約条件に従います。

そして16,000円はあなたの報酬ではない。

撮影や制作に必要なほかの費用もある。関わった人への報酬もある。税金なども考慮しなければならない。

誰が何を受け取るかは事前に合意した契約条件によって決まる。

残った16,000円をそのまま自分の収入として計算することはできない。

30,000円売れた。

30,000円稼いだ。

この二つは違う。

では20件の注文が本当に入ったとして。

次も同じ写真を販売する?

色を変える?

もっと大きく印刷する?

購入者にどうしてその写真を選んだのか聞いてみる?

次は写真集を作りたいと思うかもしれない。

自分より写真の上手い人に撮影を頼みたいと思うかもしれない。

さっきまで欲しかったのは自分に入るお金だった。

今は撮影を依頼するための予算まで考えている。

作りたいものが増えるとお金の使い道も増える。

20人が買ったという結果だけでは次も20人が買う理由にはならない。

成功した方法を繰り返しても次は売れないかもしれない。

反対に売れなかった作品を別の場所で見せたら誰かが気に入ることもある。

買った人の理由は完全にはわからない。

それでも一件の取引が成立したとき価格と作品と購入者の間に実際の関係が生まれる。

次に何かを作るときその経験を知らなかった頃には戻れない。

100人のいる場所 ↓

06 / ROOM

100人のいる場所

今度は商品を写真からイベントに変更する。

音楽が鳴っている。

DJが曲をつないでいる。

ステージには出演者がいる。

その日にしか起こらないことがある。

100人が来場したことにする。

100人全員が写真を買うわけではない。

物販を買わずに帰る人もいる。

音楽を聴きたくて来た人がいる。

出演者に会いたくて来た人がいる。

友達についてきた人がいる。

翌週もう一度来たいと思う人がいるかもしれない。

一度で十分だと思う人もいる。

それぞれ別の理由で同じ場所にいる。

チケット売上を計算するなら単価と有料来場者数が必要になる。

そこから会場費や音響費、スタッフ費、権利処理費など実際に発生する費用を引く。

100人という数字だけでは報酬は計算できない。

ROOM / A100人
ROOM / B1,000人

では1000人だったら?

もっと大きな会場を探す。

入退場の管理が必要になる。

スタッフを増やす。

音響を変える。

安全対策も考える。

チケットの価格をどうするか。

見やすさをどう確保するか。

前の会場でできたことが次の会場でもできるとは限らない。

100人のときは出演者の表情まで見えていた。

1000人の会場では後方から表情が見えにくくなるかもしれない。

そこで映像設備を増やすのか。

会場の規模を抑えるのか。

別の日にもう一公演やるのか。

大きくなったことで新しい問題が発生する。

その問題を解決することにもお金がかかる。

1000人の方が必ず優れているという話にはならない。

どんな体験を作りたいのかでちょうどいい規模も変わる。

HOUSE MUSIC ↓

07 / THE MUSIC CHANGES THE ROOM

HOUSE MUSIC.

ここで音楽の話をしたい。

反復するビートの中で一音の変化が身体の感じ方を変えていく。

曲をつなぐとさっきまで聴いていた音の意味も変わる。

それを楽しみに来る人がいる。

出演者に興味を持って来た人がそこで知らなかった音楽に出会うかもしれない。

HOUSEを聴きに来た人が出演者の写真や文章を気に入るかもしれない。

別々のものを好きな人たちが同じ場所で何かを見つける。

音楽のために来た人が全員アイドルのファンになる保証はない。

出演者を見に来た人がHOUSEを好きになる保証もない。

だから選曲も作品も実際に面白くなければならない。

そこで新しい人が関わる。

自分とは違う好みを持っている人。

自分には思いつかないものを作る人。

同じ曲を聴いてまったく違うことを想像する人。

その人が参加することによって最初の計画とは別の仕事が生まれる可能性がある。

何を作るかを決める人が増える。

お金の使い道を考える人も増える。

現実に戻る ↓

08 / YOUR ACCOUNT

残高を確認する

そろそろ現実に戻る。

GlassRoomは大きな先行投資で活動規模を作るつもりはない。

最初から大きな会場も大量の衣装も用意しない。

できる規模で作品を作り取引が成立する方法を探す。

収益が生まれたら必要な費用と合意した報酬を支払い、残った資金で次に何ができるかを考える。

次の作品。

次のイベント。

次の機材。

次に仕事を頼む人。

売上が増えた分だけ使えるお金が増えるとは限らない。経費も増えるし失敗することもある。

活動を大きくするかどうかもその時点で判断する。

参加する人は出演を断ることもできる。何を作るかも相談して決める。報酬の算定方法や支払条件は活動前に確認する。

この自由があることと収入が安定することは別の話だ。

生活のために必要なお金があるならまず確実に受け取れる仕事を選んでほしい。

GlassRoomの収益がいくらになるかは誰にもわからない。

現在の口座REALITY
残高変化なし
今回の仮想取引NOT REAL
販売した写真存在しない
購入者存在しない
売上発生していない
報酬発生していない

何も稼いでいない。

写真も売っていない。

100人のお客さんも1000人のお客さんもまだいない。

さっきの出来事は全部頭の中で起きた。

ただし写真を販売するときに必要な費用は計算できるようになった。

知らない人が写真を買う理由も考えた。

売上と報酬の違いも確認した。

一件売れた後に何を考えるのか。

20件売れたら何を変えるのか。

100人から1000人になったら何を失う可能性があるのか。

次に誰かの作品を見るとき販売価格の向こう側にある費用や選択を想像するかもしれない。

商品を買う側にいるときもこれまでとは違うことを考えるかもしれない。

最初の質問をもう一度。

いくら稼ぎたい?

3万円。

10万円。

100万円。

もっと。

その金額は変えなくていい。

必要なお金を必要だと思うことにも理由がある。

もう一つだけ考えてみたい。

そのお金を払いたくなるものをあなたは何か作れるだろうか。

今すぐ答えがなくてもいい。

まだ存在していないものを想像している。

価格をつけている。

買う人の顔を考えている。

費用を引いている。

計算が合わなければ作り方を変える。

そんなことをしているうちに最初の金額とは違う場所まで来てしまった。

まだ届いていないメール ↓

09 / AN EMAIL FROM SOMEWHERE ELSE

まだ届いていないメール

もう一度だけ仮想の画面を開く。

新着メールが一件。

注文通知ではない。

INBOX / IMAGINARY1 NEW
件名写真を見ました
差出人知らない街の花屋

あなたが販売した写真を店に飾りたいという。

店内の展示を任せてもらえないか。

写真を見て音楽も聴いたらしい。

展示期間中にイベントもできないだろうか。

店の営業が終わったあとに音楽をかける。

花を選ぶ人がいて写真を撮る人がいる。

服を作る人にも声をかけたい。

まだ何も決まっていない。

花屋には予算がある。

あなたにも見積もりが必要になる。

展示用の印刷費。

音響機材。

出演者への報酬。

運搬費。

売上の扱い。

ここでも計算しなければならない。

一枚1,500円で販売しようとしていた写真が店全体を使う企画の入口になっている。

今度はあなたがお金を払って誰かに仕事を頼むことになるかもしれない。

撮影。

衣装。

音楽。

花。

デザイン。

自分が稼ぐために始めたことから誰かの収入が生まれる可能性がある。

その花屋で作った写真が別の街の人に届く。

今度はホテルのラウンジから連絡が来る。

別の人は音楽だけを気に入ってイベントに誘ってくる。

衣装を作ってくれた人が自分のブランドを始める。

その服を着て写真を撮る。

写真を見た誰かがその服を買う。

最初の写真を買った人が別の街で店を開く。

新しい店に飾る作品を頼まれる。

また見積書を作る。

そこにはもう最初の1,500円とは違う数字が並んでいる。

もちろん全部仮想の話だ。

一件の販売からこんな仕事が続くとは限らない。

ただ最初の取引を考えたときには花屋もホテルも衣装を作る人も存在していなかった。

自分が売ろうとしているものから別の誰かの仕事が始まる。

その仕事がまた自分の知らない場所につながっていく。

銀行口座の残高は変わっていない。

それなのに今あなたはまだ行ったことのない街で開催するイベントの見積書を考えている。

最初に必要だったのは3万円。

今は知らない街の花屋でイベントを開く予算を考えている。

写真を撮る人。

服を作る人。

音楽を作る人。

その人たちに仕事を頼めるかもしれない。

次は自分が誰かの見積書を受け取る側になる。

まだ売れていない写真が一枚。

価格は1,500円。

注文数は0件。

銀行口座の残高も変わらない。

それなのに行きたい場所が増えている。

一緒に仕事をしたい人も増えている。

稼ぎたい。
今度は誰かに仕事を頼めるくらい。

GLASSROOM / STILL OPERABLEENTRY ↗
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

Author

stilloperable
個人ブログ。インターネット、仕事、学校、アイドル、まだ名前のついていない仕組みについて書いています。現在、GlassRoomというアイドルプロジェクトを準備中。

目次